投資銀行・証券会社の仕事(フロントオフィス編)

12月に入ってリクルートスーツを着て就活を頑張ってる学生が増えて、電車に乗っててもちらほらと就活トーク(「xx株式会社はooらしい」とか「えー私まだ始めてないのに―焦る―」とか)が聞こえてきたりして、約1年前にVol1というのを書いたのを思い出したのでまた記事を書いてみることとしました。今日のテーマは投資銀行・証券会社のお仕事。どんな仕事があるのかよくわからないで就活してると結構ツライと思う。せっかく説明会とかいって社員と座談会になってもなに言ってるかわからなかったり。そもそも面接でかみ合わない可能性もある。トレーディング部門の面接なのに「はい!企業の資金調達のフェーズに携わってうんぬん…!」みたいなことを言っている人がいてあららとなったりするものです。

0.そもそも金融って何?
そもそも金融ってなんでしょうか。一言でいうならば「お金を融通する」ことでしょう。元はというと、お金の余っているところから足りないところへと動かすことが金融の役割。銀行の支店なんかに行って地元の中小企業の社長さんを相手にお金を貸してくれ、返済計画はこれこれで…と相談されたり、逆にいい投資先があるんですよここの株を買えば…と営業に回るのも、結局のところお金のあるところから欲しているところへと動かすことが根本にあるという点においてつながっている。これは大人より詳しい学生の人々も多そうだし、いろいろな切り口があるで軽く触れて終わり。

1.資金調達の多角化(IB)
で、最初はお金そのものを貸すだけだったのが、いろいろな方法でお金を持ってくることが可能になった。株や債券など。株は、お金を欲してる会社が株券を発行して、投資家に渡し、定期的に配当を渡したり株価自体のアゲサゲを期待してもらう。一方で債券は、債券を発行して投資家に渡し、定期的に(ほぼ)決まったお金を渡し、最後に投資額相当を返す。

ここで、企業に対して窓口となって御社の財務状況や格付け等を鑑みて、このような方法で資金調達するのがベストです!という仕事をするのが、インベストメントバンカーの人々。あるいは「金余ってるしうちの会社の海外売り上げのばしたいわー」というのに対して「じゃあM&Aしちゃいましょう」といって割安な企業を探してきたりする。ちなみに手数料が3%とか5%とかで、100億のディールに対して3億とかもらえることとなる。ので、一人当たりの取り分もでかいが超絶激務。

2.どうやって売ろう(セールス・トレーダー)
それで首尾よく「じゃあ株発行しようかな」となると、それをいったん自分らの会社で持たなければいけない(引受といいます)。ので、次は営業力が必要になってくる。営業というとなんとなく証券会社の人々がチャリで走り回って各家庭を回るイメージがあるが、大口の投資家(機関投資家といいます)がメイン。機関投資家は、生命保険会社や資産運用会社など、多額の資金を持っていて投資先を探す人々。この人たちに売ることになりますが、そこで出てくるのがトレーダーやセールス。この辺は会社によるし種類もいろいろで、自己ポジションを持つトレーダーもいれば、セールスが機関投資家の窓口になっていて「こういうプライスでこれぐらいの量売買できます?」と聞かれたのをトレーダーと相談して執行はトレーダーがやる、というパターンなんかもある。ざっくりしたイメージは、機関投資家に対していくらでどれくらい売買するかを決めるのがセールス、それに応じて実際に売買を行うのがトレーダー。トレーダーとセールスはよく「マーケット」の人々としてくくられます。企業によって呼び名は違いますが「マーケット部門」「市場部門」「証券部門」なんかはたいていこれらの人々が所属しているところ。

あと、ここでいくらくらいなら売りさばけるのかとか、スキームごとのメリットデメリットを知っていると、上記のIBのような交渉の場面で色々提示できることがあるのでマーケット部門からIBに行く人・橋渡し的役割をする人もいます。ちなみにここまで書いたような「企業とフェイスして発行に携わる」部分をプライマリマーケットといいます。新しく発行したのを取り扱う場合。フェイスブックの株が発行された時はプライマリ市場。

3.売った後の調査(リサーチ)
さて、プライマリの仕事がすべてではなく、当然それ以降のこともあります。てか普通株式市場といって想像するのはむしろこっち。すでに発行された株や債券を取引するのがセカンダリ市場。基本的には自己ポジションを持って行うトレードなんかはセカンダリ市場で行わる。機関投資家も、常にプライマリばかり狙っているわけではないので、なんかいい株ないかなーと思っている。そこで出てくるのがリサーチ。アナリストという呼び方が一般的だが、業界や各企業について調査・分析してレポートをまとめる。アナリストランキングで上位に食い込むことが大事なのでお客さんの下手なことを書けなかったりする。あと、有名なアナリストでも強気タイプと弱気タイプがいて、弱気タイプの人が強気なレポートをかくとそれだけで話題になったり。人気取りの側面もかなり強い。


ここまでの、インベストメントバンカー、トレーダー、セールス、リサーチ。これらがいわゆる「フロントオフィス」と呼ばれる人々です。これらをしっかり区別しておくだけでもとっかかりとしては話が聞きやすくなるはず。


フロントの反対ということで当然バックもあるがそれはまた次回。オペレーション、財務、ITなんかはバックです。


あと、以前に書いたこちらの記事(金融業界志望の就活生への4つのオススメコンテンツ)もぜひ。