この国を作り変えよう

この国を作り変えよう 日本を再生させる10の提言 (講談社BIZ)

この国を作り変えよう 日本を再生させる10の提言 (講談社BIZ)

新刊で出ている時に購入したまま4年間も積ん読されていた…が、後から読むのもまた一興ということで読んでみた。

グローバル化が進んだ世の中では日本の企業が好調=日本の国力が高まるという図式とは限らない
大量にモノを作ってそれらを売っていく、というビジネスモデルにおいては、品質を保ちつついかに安く作るかということが一つのカギになるのは今さら言うまでもない。それで工場は人での安い国へ移転されている。この場合、工場を受け入れた国・地域にとってはものすごい雇用が生まれるわけで、日本の企業が受け入れ国・地域の発展に貢献していることとなる。国内工場をやめて海外工場での生産をしているような状況においては、「日本の企業が好調でも国力が高まるとは限らない」という図式が生まれる。

・パワーやマネーを持つ人がそれをどう移転するかを真剣に考える時期
日本だと力を握っている人々がそれを若者・次世代のために利用しようとすることが少ない、という話。この本だと世代間格差もテーマになっているようなのでこういう論調も出るのだと思うが、国のシステムとして委譲がしづらいようになってしまっている面もあると思う。

新自由主義が行き詰るとオールドケインジアンが出てくるのが日本の経済政策
この辺の、経済の歴史と考え方・流派/学派(?)については非常に疎いので勉強が必要かなと思いメモ。

・デビエント(逸脱した人)を認める・称賛できる社会になってほしい
これはなんとなくホリエモンとかのことを指しているのかなと思ったが、最近は昔よりも逸脱した生き方が認められる方向に動いてきていると思う。イケダハヤト氏とか、税所篤快氏などなど。いろんな生き方が生まれるのはある意味社会が成熟している証拠だと思うのでこれはよい潮流かもしれない。ここは議論の分かれるところだろうけど、みんながみんな右肩上がりを目指してガツガツする、という社会よりも、いろんな生き方をしている人が多いほうがハッピーなのでは。それで国力が落ちたらどうしようもない、というのも一理あるので決めづらいが。結局、無気力に生きなければそれでよいのではないか。

以上が気になったポイント。今の世の中って資本主義が行き詰ってでも次の形態を見つけきれていないところだと思うが、この本の論調は、(いいとか悪いとかではなく)資本主義側に軸足を置きつつ次の発展型を模索しているように感じた。そういう意味で、全く新しい視点を与えてくれるものではないが、現実解の一つとして受け入れやすい考え方だと思う。