ユーロの正体

毎度のことながらギリシャがいよいよという感じなので。

欧州統合のプロセス、ユーロの前身(EMS)瓦解、ユーロ危機の本質、日本はどうなるか。

ヨーロッパは1971年のニクソンショックに端を発して通貨協力に進んでいった。ユーロ導入に伴い、独自通貨を廃止して同じユーロを使うことで、域内の為替市場自体が消滅することとなった。それによって為替レート変動に関する問題も消滅すると仮定していた。

ユーロ参加の条件として、財政赤字が十分に削減されていて、インフレ率が緩やかに推移しており、為替レート及び長期金利が安定していること、の4つが挙げられた。これをクリアした状態で一つの中央銀行によるひとつの金融政策を実行すれば、欧州全体の経済が平準化されると考えられていた。

これにより貿易黒字の格差拡大等が起こった一方で、各国の長期金利は下がって落ち着き、不動産等に資金が流れたものの、ECBが引き締めを行った結果資金流動性が低下して不動産バブルが崩壊。

独自通貨がなくなってしまったために独自の金融政策を打てず、財政政策で対応するしか手段がなくなってしまった、、という話。

本の後半では日本がどうしたらデフレ(本が書かれたのは2012年)から脱却できるかということについて触れており、そこでは中銀によって緩和政策を行う必要があるというまさに黒田総裁以降の話のようなものがあり、先見性があると感じた。