ザ・コストカッター 黒木亮

ザ・コストカッター (角川文庫)

ザ・コストカッター (角川文庫)

経済小説家、黒木亮の本。

トップレフト、で小説家デビュー。以前コチラでも紹介した小説格付け会社
巨大投資銀行、などが著書にある。

黒木亮の本はこれまで大体全部読んだと思うが、最近の著作の中では久々に面白かった。小説格付け会社にしろ、獅子のごとくにしろ、取り上げるテーマが若干遅れ気味感があったので。。それに比べると、今回のテーマとして、あまりスポットが当たらない空売り屋というものを取り上げているので、面白かったと感じたのだと思う。ちなみに個人的に一番面白いと思うのは巨大投資銀行

今回の、ザコストカッターは、空売りを行う業者の話。空売り屋VS企業再生家。一般に、空売り屋は悪者というイメージがあるように思うが、
本書では必ずしもそうでないということがわかる。かも。

企業再生といったときに自分がすぐに思いつくのはリストラ。
特に日本企業の場合には、アウトプットには差があったはずなのに、
年功序列である程度の役職についている人々がまだまだ多いと思われる。そこを一部カットして、ノウハウはないかもしれないけど若くて人数の少ない世代に回す、というのが、永続的に企業活動を行っていくのに必要だと思うのでリストラはすぐに思いつく。

人を減らさないで再建しようとすると、どうしても一時的に巨大な借入を行ったり、債券発行での資金調達が必要になる。このコストを外部に求めようとしても、自社でリストラなどしていないと結構厳しいように思う。ので、リストラは再建にあたっては避けられないものであると思われる。

と外から言うのは簡単だが、やはりそれを決断するにあたってそれぞれの社員+その家族への影響があるわけで、そのあたりを「感情論を単純かつ完全に無視して」決断するというのはかなり難しいだろう。それらを乗り越えてちゃんと再生した企業はやはりすごい。それを決定した再生家もすごいが、受け入れていった社員もすごい。

以下、気になった点とかメモ。
・売掛の期間が延びて営業CFがさえないのは、典型的な架空売り上げの兆候
・ビルアンドホールド=ビル(請求書)を送りつつ、商品はホールド
・コックローチセオリー:あんま書きたくないが、、悪いことは重なって出てくるということ
・企業買収では、ビジネス、アカウンティング、リーガル、ファイナンスの4点をチェックするのが基本