武器としての交渉思考

京大で人気授業を教える滝本氏の新刊。

(以前の本の書評はコチラ)

交渉はスタート時点で決まるので、まずは受け入れられるか受け入れられないかギリギリのレベルを提示し、その中で互いの重要視している点を探り合いながら最終的に互いに譲歩できる点を探してそこに落ち着ける、というところがエッセンスか。

また、前の本で書いていた「コモディティ化する人材」については、交渉が関わってくる仕事はコモディティ化せず、そうでない仕事はコモディティ化する可能性が高い、ということにも触れていた。

交渉のプロセスは、出来るだけ多くの情報を集め、上記のように互いに探り合いながら終着点を探していくというものである。互いに納得のいく結論に帰着するまでの過程で情報を集める力の他にも、それを整理する力、相手の要望に応えるように加工する力等も自然に鍛えられるのだろう。

蛇足だが、競争の戦略に通じるところも非常に多いと感じた。

===以下メモ===
交渉は、仕事の場にのみあるものではなく、普段の生活の中でも存在する。その中で交渉を意識的に行うことが重要。

ソクラテスメソッド:対話形式、必ずしもひとつの答えがあるわけではなく、そこまでの過程も含めて学ぶ

ムーヴメントを起こすのは若者だが、それを後押しするエスタブリッシュメントがいる、味方につける。その際に必要なのはこびることではなく、投資対象としてみてもらうこと。

これからも残る仕事は交渉を伴う仕事のみ

いくらで何ができるかを示すことは重要

認知的不協和の解消:自分が行ったことが意味ないと思いたくないため、ブラック企業のほうが万っ族度が高かったりするらしい

交渉には、合理的な相手とのものと、非合理的な相手とのもの、2種類がある

基本的に、選択肢がおおいほうが勝つ。その意味で、交渉は情報をどれだけ集められたかの勝負に収束する。こちらのバトナの把握はもちろん、相手からこちらのバトナがどう認識されているかを知ることも重要。

沈黙は辛いがそれに耐えて相手の譲歩を引き出す

非合理な人間
価値の理解と共感:相手の価値観に合わせる
ラポール:時間をかけてラポールを築く(好意、ギフト、共通項、共通作業)
自律的決定:判断するための情報のみを提供
重要感:敬意をもって接する
ランク主義者:高いランクの人を味方にしておく
動物的:スルー