Goldman sachs を退社する社員による痛烈批判

GSに12年間務めて株のデリバ、欧州、中東、アフリカ地域の責任者だったというGreg Smith氏が、退社するに当たって内部事情と経営陣を痛烈批判する内容をNYTに寄稿したことが波紋を呼んでいます (why im leaving goldman sachs)

記事では、「入社当時は顧客のためならこちらの利益にならないようなこともしており、社員は誇りを持って働いていた。しかし時代が変わり、特に現在の経営者になってからというもの、会社は利益を優先しすぎるようになった。このようなカルチャーでは最早誇りを持って働くことなどできない」といった内容のことが書かれております。また、一部の幹部が顧客を「操り人形」呼ばわりしたことなども報じられています。

この寄稿をうけ、次の日のGSの株価は約3%減少し、1800億円程度の時価総額がとびました。もちろん、これはこの寄稿の内容だけに起因するものではないかもしれませんが、下落率ではsp500の3番目だったということです。

一方、ゴールドマンは、3万人も社員がいる中ではこのように思う社員もいるだろう、とした上で、「しかしこのような見方には同意できない。現在も我々のビジネスの成功は、顧客の成功無しにはありえない」とする声明を出しています。更に、次の当該地域担当者も決定済みということです(おそらく上の人間が暫定で見ているだけだと思いますが)
http://www.borowitzreport.com/2012/03/14/a-response-from-goldman-sachs/

また、ftによると、jpmorganなど他社も同じような事態に陥らないかということを心配しているようです。ゴールドマンの本社周りにはマスコミが張り付いているようですが、昨日、ニューヨーク市長のマイケルブルームバーグ氏が、ゴールドマンへの支持を表明するために同社本社を訪れ、ブランクファイン会長らとあったと報じられています。実際、ゴールドマンのような大企業が反映することは市の運営にとっても非常に重要なことでしょう。

ゴールドマンのホームページでも確認できるとおり、経営理念のトップにくるのは顧客の成功、です(http://www.goldmansachs.com/japan/careers/our-firm/basics/index.html)。このようなことをいう企業は多くあることでしょう。しかし、金融のように情報を扱うビジネスにおいては信頼の重要性と言うものは計り知れません。また、働く社員の側にも一定のプライドというものはあるでしょう。その観点からいくと、今回の告発が少なくとも自分たちを振り返るきっかけとはなったとおもいます。そこから原点に立ち返るのか現状のままでいくのか、そこに今後の行方が委ねられているように思います。