ファイナンスのための確率解析1

ファイナンスのための確率解析〈1〉二項モデルによる資産価格評価

ファイナンスのための確率解析〈1〉二項モデルによる資産価格評価

ツリーについて復習するために読み返し。この本は1と2の二冊出ていて、1では離散時間のモデルを、2では連続時間のモデルをとりあげている。基本的に数学が出来る人は2から読んでも問題ない。連続だとイメージがわかないときにこちらに戻るとわかりやすいときがある。というのも、具体例が豊富なため。特に、個人的には測度変換のあたりは1巻の説明を読んでおくと理解が早いように思う。

本書では二項モデルを中心に話が進んで行く。1章では無裁定の理論を用いたデリバティブのプライシングの基本を取り上げている。現時点でデリバティブを売り、それで得られる益を用い、原資産および現金でヘッジして行く。このヘッジポジションからのペイオフデリバティブペイオフと等しくすることでプライスを求める。

2章はそれ以降への数学の準備。マルチンゲールとは、将来の期待値が現在の値に等しくなる様な確率過程。マルコフ過程とは、次の期の状態が現時点での状態のみに依存し(以前の情報は必要ないとし)て決まる過程。

3章で測度変換とCAPM。確率測度とは、ある事象が起こる確率を規定する関数。2つの測度があるとすると、その比率を用いて測度を変換することができる。

4章ではアメリカンオプションのプライシング。アメリカンオプションは優マルチンゲール性(今の状態の価値が、将来の期待値以上である過程)をもつ。これは各期に行使可能性を持ち、最適な行使のタイミングがあることに起因するものである。プットアメリカンはヨーロピアンと価格が変わるが、コールの場合変わらない。

5章はランダムウォーク。連続時間への橋渡し。満期がないと仮定した商品である永久アメリカンプットを題材にして境界条件の設定について説明している。

最後の6章は金利デリバティブへの拡張。スワップ、キャップフロア、フォワードと先物。このあたりは初見だと本書だけではどういった商品かイメージがつかみづらいので、各商品を調べてから読むと良いかも。スワップ金利の交換で、特に固定金利と変動金利の交換がある。本書では固定金利を受けて変動金利を払うというスワップを元にプライシングを行う。キャップとは、変動金利がある値を超えると、その価格差を受け取れる商品。xパーセント以上に上がって欲しくない、などというときに用いる。フロアはその逆。

これを読んでイメージをつけておくと2巻も読みやすい。まあデキル人なら二から始めて適宜戻るのがよいか。

ファイナンスのための確率解析 2 (2)

ファイナンスのための確率解析 2 (2)