新しい資本主義 原丈人

ベンチャーキャピタリスト原丈人氏の本。

新しい資本主義 (PHP新書)

新しい資本主義 (PHP新書)

アメリカで長らくVCをなさっていた方にしては珍しい視点というか、日本は力があるぜ、と元気づけてくれる本です。

・ファンドの原理そのものは間違っていない??
氏は村上ファンド等の行ったことに対して、「原理自体は間違っていない」と考えている人がいまだに多いことに対して驚いたそうです。基本的にファンド等はROE等の比較的短期的な利益を求め、内部留保等をさせない。しかし研究開発などはもっと長期的な視点で見なければならないのだから、そもそもROEが元になっている点からオカシイのだと。

・基幹産業をもたらすコア技術
繊維、水蒸気、ITなどの基幹産業。これらを生み出す原動力がコア技術である。たとえばエンジンは蒸気機関から生まれた。しかし、コア技術は生まれた時は何に応用すべきかがわかりづらい。(そのへんに工学者の存在意義があるのだろうけど。)それを改良して他の物に適用し、爆発的に広まったあとにはすでに成熟後。成熟期のあとは「それがあって当たり前のもの」ととらえられるので、他の新しい産業を生み出すようなコア技術の開発に着手すべき。いつまでもITにしがみついてないでね、ということらしい。そりゃまあそうだけど・・・

・コア技術を元手に
そうして生まれたコア技術を他国に売って特許権なりの権利益を手に入れることで豊かにしていきましょう。

とまあ他にもあるけれど、少々難解でまとめきれてないのでこのへんで。基幹産業をもたらすコア技術の開発が必要というのは非常にわかるし、長期的な視点で、というのもわかる。そしてそういったコアを基にしてサービスとか金融とかのソフト面でも売っていくという流れはわかる。が、やはりそういう技術を生み出す人材をいかに育てるかということがすべてではなかろうか。